築15年前後の収益物件が多く売りに出される原因は、2つあります。
1つ目は、デッドクロスです!
デッドクロスを理解していないと、最悪、黒字倒産になります。
デッドクロスがおこる原因は、2つあります。
不動産投資は節税できると言われます。
なぜか?というと建物や設備が、耐用年数に応じて減価償却費として
経費化できるからです。
お金は出ていかないけれども、経費化できるということで、魔法の経費とも言われています。
実際、お金を出しているのは、建物を建てた時、買った時ですが、毎年、実際にはお金を出して
いないけれど、経費化することができています。
ただし、このメリットはいつまでも続きません。
築年数が新しいと経費化できる額は大きいですが、一定年数を過ぎると激減します。
これは、耐用年数が短く、その分毎年の償却費の大きい設備部分の償却が、
15年で終了するからです。
大体、建物の2割から3割がわずか15年で償却が終わります。
節税にいい減価償却費の仕組みを理解し、対策を考えていないと、
いずれ足かせになります。
デッドクロスが起こる2つ目の原因は、金利です!
多くの方はお金を借りて賃貸経営をされていると思います。
ローンの返済方式は2種類あります。
元金と金利の合計額を一定にして返済していく元利均等返済方式。
返済開始当初、金利の返済がほとんどですが、返済が進むごとに元金の返済が
増えていくのが特徴です。
もう一つは、毎月の元金の返済を一定にする元金均等返済方式です。
返済開始当初、金利と元金の合計額が大きくなりますが、
毎月一定額、元金が減ります。
トータルで見ると、元利均等返済方式より、金利の総支払額が
少なくなる特徴があります。
多くの方は、元利均等返済方式で借りています。
毎月の返済額が一定で事業計画をたてやすいです。
また、借入金が長期間多く残るので、相続税対策でお金を借りる時は、
元利均等返済方式が基本です。
金融機関も金利をたくさん稼げるので、融資条件によっては、
これしか選べない場合もあります。
元利均等返済方式は、返済が進むごとに、元金の返済額が増えていくのが特徴です。
ここで注意が必要になります!
元金の返済は借りたお金を返すだけなので、経費にならないです。
返済が進むにつれ、経費にならない元金返済が増え、
経費にできる利息が減ります。
減価償却費の逆で元金返済分は、お金は出ていくけど、経費にはなりません。
年々減っていく経費にできる減価償却費の額と、
年々増えていく経費にできない元金返済分の額が、
逆転してしまうポイントがデッドクロスです。
このポイントを過ぎると、実際手元に残る現金よりも、
申告所得の方が多くなってしまうので、
満室経営を続けていても、財務状態は悪化してしまいます。
どのような構造の建物でも、だいたい築10年から16年前後でおとずれます。
デッドクロスの他にもう1つの理由は、築15年前後で大規模修繕が必要になります。
外壁修繕や屋上防水など、建物自体のメンテナンスが必要になります。
また家賃を下げずに満室を維持するためには、時代の変化とともに、
必要不可欠になった設備を導入する必要性がでてきます。
ただ、長期的なシミュレーションをした上でデッドクロスの回避方法を理解せず、
また必要な大規模修繕費用を貯めていない大家さんは、手遅れになっている可能性が高く、
賃貸経営が嫌になり手放さざるを得ない時期が、だいたい築15年前後ということです。
このような理由から、築15年前後で売りに出される収益物件が多いということです。
これはしっかりシミュレーションし、長期的な対策をしていれば防げることなので、
手遅れにならないように注意しましょう!